刑事事件の成立過程―検察官・弁護士の主張

 多くの方がご承知の通り、犯罪、すなわち刑事事件が成立すると刑罰が科されることになります。犯罪とよばれるもののなかには、殺人罪、窃盗罪、強盗罪、住居侵入罪、強制わいせつ罪等々、実に様々なものがあります。殺人罪は人を殺した時に適用される法律ですし、窃盗罪は物を盗んだ時に適用される法律です。このように、犯罪が成立するかどうかはその行為ごとに法律に定める要件を充たしているのかどうか確かめなければなりません。しかし、どの犯罪であっても細かく検討する内容は異なっていますが、実は大枠といいますか、考える順序は共通しています。

 一般的に犯罪が成立するまでの思考過程を簡単にみてみましょう。
 まず、犯罪が成立するかどうかを考える時には「構成要件に該当するか」どうかを最初に考えなければなりません。刑事事件の裁判では、検察官が構成要件の該当性について主張立証をしていきます。詳しくは後ほど説明いたしますが、構成要件とは法律に書いてある要件を充たすかどうかです。例えば、殺人罪であれば「人を殺した」ことが構成要件ですので、被告人の実行行為があるか、被害者の死亡という結果があるか、そして両者に因果関係があるか、さらに殺意があるかということを検討していきます。それぞれ実行行為、結果、因果関係、故意などといわれていますが、構成要件に該当すれば、違法でありかつ有責であるといえます。そこで、被告人及び弁護士は、本件では例えば正当防衛だから違法性がないと主張したり、被告人は精神的な病気を抱えているから責任がないなどと主張して犯罪が成立しないと争うことになります。
 このサイトでは、刑事事件の成立に際して検討される諸々の要素について、各ページにおいて個別に説明していきます。

(参考) 刑事事件に強い弁護士のサイト

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