主観的構成要件

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 客観的構成要件は行為、結果、因果関係と説明しましたが、主観的構成要件は故意のことを指します。実はこのあたりの位置付けは学説上も様々な見解がありどれが正しいとは一概に言えないのですが、一応判例の立場に沿ってご紹介させていただきます。「故意」とは、「構成要件該当事実の認識・認容があることをいう」と定義されています。つまりナイフで人を刺して殺してしまった殺人罪の例で言えば、「刺したら死ぬ」ということを認識・認容していることをいいます。殺してやるというような強い意思がある場合は当然この故意が認められます。注意が必要なのは、そこまで強く思っていなかったとしても、「刺したら死ぬかもなー、まあいいか」くらいの意図があれば、結果等の認容をしているといえ、故意が認められるという点です。講学上、「未必の故意」などともよばれます。
 こうした故意の認定に限った話ではありませんが、いくら被告人が「殺そうとまでは思っていなかったんです」と主張したとしても、故意が肯定される場合があります。主観的というくらいだから主観面のみで判断するのでは、と思う方もいるかもしれませんが、実際には客観的な証拠などからも認定します。例えば殺傷能力の高いライフル銃で心臓を撃ち抜いて殺したとして、後から殺すつもりなかったなどといっても無理があるのは感覚的にわかっていただけると思います。故意の認定というのは、刑事事件の裁判では特に争われることが多く、重要な問題です。

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