違法性

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 「客観的構成要件」及び「主観的構成要件」については、専ら検察官が力を入れて主張することになります。というのも、刑事事件の裁判においては、構成要件に該当していることが認められ、これに対し特に反論がなければ、犯罪が成立することになるからです。つまり、被告人の行為には違法性がない、或いは、被告人には責任がないとの主張は、検察官の構成要件に該当するだろうという主張に対しての反論と位置付けられることになります。このことを難しく表現すると、構成要件に該当すれば違法性及び有責性が推定されるなどと言ったりします。
 違法性がないとの主張は、主に正当行為、正当防衛、そして緊急避難の主張などがあります。正当行為というのは、例えば警察官による適切な逮捕行為であるとか、お医者さんによる医療行為であるとか等々が考えられます。正当行為が違法性をなくすものでないと、警察官の行為は逮捕監禁罪に、お医者さんの行為は傷害罪などにあたってしまうことになり、妥当ではありません。正当防衛は、殴られそうになったからとっさに防御のため掴みかかった場合などに適用されます。正当防衛の理論を用いない場合、この例だと暴行罪あるいは傷害罪が成立してしまうでしょう。緊急避難は災害時など一刻を争って逃げなければ死んでしまうというような状況で他人を突き飛ばして逃げたというような場合に適用されます。この例では、緊急避難の理論がなければ暴行罪などにあたってしまいます。このように、当該行為は正当な理由に基づくものであり、実は悪くないんだ、というような主張が、違法性がないという主張になります。

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