責任

 「責任」も違法性と同じで被告人及び弁護士が主張するものです。すなわち、被告人の行為が犯罪の構成要件に該当するとしても、その行為につき被告人には責任がないと主張し、これが認められれば犯罪は成立しないことになります。責任がないとの主張で考えられるものとしては、心神喪失(責任がないというよりも減軽になるものとして心神耗弱)、または刑事未成年(14歳未満であること)の主張などが考えられます。責任とは、結局当該被告人に対して非難可能性があるのかという観点から判断されます。違法性とは被告人の行為が悪いか否かを判断しますが、責任段階では、違法性があることを前提としつつも被告人自身の問題で責任を問うことができないという話です。両者は見るべきポイントや対象も異なるので注意が必要です。
 さて、よくニュースなどでもみる心神喪失の主張とは、精神の障害により、事物の理非善悪を弁識する能力又はその弁識に従って行動する能力のないことを述べるものです。この場合は責任がないとして、無罪となります。なお、似たような言葉に心神耗弱というものがありますが、これは上記の能力のいずれかが著しく減退していることをいうのであり欠けているわけではありません。

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